13th AgeのCoreルールをざっと読んだので、その内容について。
これは、英雄の物語である。
13th Ageを用いて行われるキャンペーンにつくであろう煽り文を考えてみれば、このようになることでしょう。
13th Ageは、d20系のレベル・クラス制のシステムですが、レベルは1~10までしかなく、5でChampion、8でEpicレベルとなります。8以上の高レベルは神話級のヒーローというわけです。
そして、なによりキャラクターを英雄たらしめるのが、ICONとOne Unique Things、それにBackgroundsというシステムです。
ICON
アイコンは、他のゲームでいう『氏族』や『勢力』に相当する働きをすると説明されています。生き方や行動の指針となるように働くということでしょう。
他の部分では、名前こそ出さないものの、おそらくはWorld of Darknessのヴァンパイアのクランやグローランサのカルトのようなものだと読み取れるように書いているので、これらのゲームを知っていると、キャラクターに及ぼすその影響力が理解しやすいかと思います。
具体的には、13th AgeにおけるICONは、世界を動かす『半神』ともいうべき英雄や伝説の人物、偉大な存在が担います。
人類の帝国を支配する皇帝や、アビスと現実世界がつながる地獄の穴をふさいでいる黄金竜や、伝説のオーク王、さらには原初の3ドラゴンやリッチキングといった具合。
これらの人物やそれが象徴する勢力との関係性が、13th Ageにおけるキャラクターの行動指針になっていくわけです。
PCはキャラクター作成時に望みのICONに対して、ポイントを割り振り、関係性を構築します。
その関係性は、Positive、Conflict、Negativeと三種あり、Conflictが衝突や矛盾、葛藤ですのでNegativeとかぶるように思われますが、基本的にはConflictのほうを取るようにとルールブックは指示しています。
というのも、Negativeな関係はその相手の内なる秘密を知る手がかりにはなるものの、完全な敵対であり、ICONと決定的な対決に至る直前に選ぶもので、その段階に至るまではConflictを選ぶべきとのこと。
つまり、Negativeな関係を構築するというのは、あからさまな宣戦布告だというわけですね。
また、これに関係してGMには注意が与えられています。ICONが直接表に出てくるのはキャンペーンの最終段階であり、NPCであるICONではなくPCにスポットライトをあてることと。
このあたり、ストーリーゲームとして丁寧に指示されていますね。もちろん、それだけICONが強力で強烈な個性を持つということでもありますが。
ICON Relationship
ICONとの関係は、キャラクター作成時に3ptを割り振り、5(Champion)レベル、8(Epic)レベルで1ptずつ増えます。5レベル以降では別のICONへの振り直し等も可能です。
ゲーム中では、関係性ロールを行うことで利用します。ptごとに1d6をして、5か6が出れば効果有りです。
たとえば、人類の帝国の皇帝に2ptの関係があるキャラクターは2d6して、一つ5か6が出れば、皇帝の配下の騎士団に便宜をはかってもらうことができたりします。5か6が二つ出た場合には効果がより強力になります。
ただし、出た目が6の場合は望んだ効果そのものが発揮されますが、5の場合は望んだ効果は発揮されたものの同時に悩ましい効果も発現します。
上の例で言うと、6だと喜んで騎士団に便宜を図ってもらえるが、5だと戦力を提供してもらうことが出来ても、それを補うためにとある地方のモンスター退治を要請されたりなんてことになるかもしれません。
PCの行動でストーリーが動くという意味では、5が出た方が楽しくなるかも知れませんね。
One Unique Things
これこそまさにキャラクターを物語の英雄たらしめる要素です。
他者とは異なる、世界で唯一無二の存在となるような事情や生い立ちを持ってキャラクターは生まれます。
ルールブックに提示されている例には、
- ブルードラゴン ((ICON“The Three”のうちの一頭))の持つ宝玉に魂を捕らえられた不死の海賊
- 皇帝 ((ICON))の私生児
- 世界で最長老のエルフ
- 誰かはわからないが、かつてのICONの生まれ変わり
- 死者の姿が見える
等々があります。
これらはステータスや戦闘に寄与したりすることはありません。 ((戦闘で有利になるようなデータはありえないとルールブックでも釘を刺している))
しかし、当然ながら、ストーリーには大いに寄与することでしょう。
どう生かしていくかはGM次第とはいえ、これらの特殊な背景によってPCは世界と関わり、また逆に彼らの生きる世界そのものを創造していくことになるのです。
Backgrounds
13th Ageには、たとえば、『登攀』などの特定のスキルはありません。
では、たとえば、岩場を登るときに判定を行いたかったならどうするか?
これまで過ごしてきたキャラクターの人生経験がものをいうのです。
プレイヤーはキャラクターの作成時に、そのキャラクターの経歴を考え、8ptを割り振ります。最大5pt、最低1ptなので、最大で8種の経歴を持つことが可能です。 ((クラスによってはさらに増やすことも出来ます))
例として
・Fighter
探検家+3
熟練の剣士+3
街の衛士+1
帝国の兵士+1
・Rogue
軽業師+2
外交官+2
ギャンブラー+2
掏摸+2
という二人がいた場合を考えてみます。
スキルの判定は、
1d20+レベル+関連する能力修正値+関連する経歴修正値の合計
と、難易度 ((1~4レベルの環境なら普通で15、困難で20))の比較によって行われます。
ですから、岩場を登る行為の判定には、Fighterならば探検家の+3が使えるでしょうし、Rogueならば軽業師の+2が利用できるでしょう。
あるいは、街での交渉ごとに関しての判定ならば、Fighterは衛士時代の経験を生かして+1、Rogueならば外交官の+2が使えるといった具合。
実際には関連する能力修正値(DEXやCHA)で判定結果は変化するでしょうが、雰囲気は感じ取ってもらえるかと思います。
このように13th Ageでは、固定した技能は存在せず、キャラクターの経験から利用できるものを利用して行動していくのです。
これらは、曖昧であるからこそ、実際に判定を行っていく過程で、この経歴にはこんな意味があったのだとプレイヤーが『発見』することもあるでしょう。
そして、GMがそれに応じて世界そのものの設定を少し変えたりすることもありえるでしょう。
そうやって、PCとGMが世界と物語を作っていく設計が成されているのだと考えます。
エスカレーション・ダイス
英雄の行動は、戦闘面でも表現されます。
エスカレーション・ダイスは、戦闘の第二ラウンドに始めて置かれ(+1)、ラウンド毎に増えていって、最大で6まで到達します。(+6)
PCはこの数値をアタックロールにプラスすることが出来るほか、一定の値になると、クラスの能力を利用できたりします。
エスカレーション・ダイスの値が偶数の時だけ使える呪文だとか、3以上の時だけ使える攻撃だとかですね。 ((もちろん、関係なく使える能力もあります))
この利点は、通常PCのみが利用できるもので、追い詰められても大逆転といったドラマティックなシチュエーションを再現することを助けています。
そして、13th Age in Glorantha
13th Ageのシステムの特徴をざっと挙げればこんな感じになります。
そんな13th Ageのシステムで、グローランサを舞台にして遊ぼうという13th Age in Gloranthaのkickstarterが、いよいよあと数時間で始まります。
ICONシステムなどが、どう取り扱われるか、興味深いところですね。
(追記)
……と思ったら、13th Age in Gloranthaのkickstarter開始は、9/4になった模様。
しれっとそれまでの予定を書き換えるのはやめてほしいw