国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ

国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ [ツカサ]

国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ (富士見ファンタジア文庫)
 

昨日、6月20日発売の富士見ファンタジア文庫の新刊。

これより――世界を殺すお手伝いをいたします

一言で言うなら、王道を煮詰めた作品。

故国のために人質となって他国に出た貴種が、故国で心を交わした友に命を狙われ、理不尽に命を落とさんとした時に力を手に入れる。彼はその力と、貴種としての彼ではなく個人としての彼が手に入れたつながりを使って、故国のため、そして、世界のために立ち上がる。

ストーリーをおおざっぱに言うとこうなる。大筋だけを見れば、古典的な貴種流離譚と言えるだろう。

手に入れた『力』が女の子の姿をしていて、魔力供給のために常にひっつきたがるというのもラノベでは定番と言っていい。(表紙は扇情的だし、イラストもえっちっぽいのがあるが、内容的にはそこまででもない。ペットが寝床に入り込むようなものだ)

昨今のラノベらしいところといえば、メイン格とおぼしきヒロインがいきなり三人もいるところか。

そんな王道を、気持ちよく読めるように料理している。その最大の要因は、おそらくどのキャラもぶれないこと。

語り手である主人公からして、『正解』を常に求めているように、キャラクターはそれぞれの芯にあるものに応じて、最適に近い行動を取っている。中にはえらく俗っぽい動機で動いている者もいるが、キャラクター造形からして不自然さは感じない。

要は、ストーリーのために犠牲になってあほな行動を取るキャラがいないので、余計なひっかかりなく物語に入り込めるわけだ。

安心して人に勧められる一冊。

ただし、この刊は序章のようなもの。謎もあるし、どうなっていくのか興味深いキャラもいる。ぜひ続刊でそれらを読みたいと思う。

ナンバリングはないが、続刊を期待する作品。